早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース top line
これは2005年度から2009年度までのMAJESTyプログラムのアーカイブです
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MAJESTy’s BOOT CAMP in 九州 〜 科学技術ジャーナリズムを考える2日間 〜3
 
講義内容紹介

「科学の方法を考える ―「観察する」」

岡本 暁子

 科学技術ジャーナリスト養成プログラムにおいて、「科学方法論」という講義を行っている。この講義は、科学の具体的なトピックについて考えたり、ジャーナリストとしての実践的なスキルを身につけたりすることは目的としていない。科学という営みそのものを、 方法という切り口から理解することを目指している。専門分化した現代の科学を理解するアプローチにはどのようなものがあるだろう か。一つには、科学の方法自体に対して歴史的にどのような議論が行われてきたかを、現場の科学者による方法とつき合わせて検討するというものがあるだろう。今回の講義では、観察という手法を題材に、このようなアプローチで科学の営みを考えてみたい。 
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「持続可能性について −地域の取り組みに関わるなかで−」

宮下 永

 北九州市は世界環境首都宣言を行い、環境共生型の街づくりを進めている。別の言葉で云えば、持続可能な社会づくりとも云える。ところで、「持続可能性」ということばが使われ始めて20年になるが、未だにその受け止めは様々である。ここでは、もう一度その意味するところを振り返るとともに、今後我々はどのように行動して行けばよいのかについて、いくつかの論点を提供する。最近の新聞紙上では、地球環境問題の関連記事が掲載されない日はないといってもよい。以前は狼少年といった見方もあったが、いよいよ問題が身近になって来て一人一人の行動が求められるようになって来た。これからは、科学技術ジャーナリズムの果たす役割が益々大きくなると思われる。 
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「Web 2.0 時代の研究開発モデル」

西村 吉雄

 インターネットがあらゆる活動のインフラストラクチャと なったことによって,産業構造の転換が起こり,研究開発 モデルにも大きく変わった。この講義ではまず,Web 2.0 以前のインターネットの影響(いわば Web 1.0)による産業 構造の変化(自前主義から連携協力へ,垂直統合から 水平分業へ)を整理する。次に Web 2.0 の本質を,不特定 多数の能動的参加ととらえ,WikipediaやLinuxにみるオープン ソース活動が,これからの研究開発モデルをどう変えるか, これを考えてみる。
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「科学ライティングの基本」

青山 聖子

 科学を伝える文章を書くことは、評論やエッセイを書くよりもやさしい。いくつかのポイントに留意して書けば、名文でなくても「伝わる」文章を書くことができる。本講義では、科学を伝える文章がどんな場面で必要とされるかを概観した上で、書くときの心構えと準備について述べる。さらに、受講生には、事前に課題を提出してもらい、その講評を通して、実際に書くときに注意すべきポイントを示す。受講生間の意見交換を通して、とういう視点で書くかという点についても考える機会としたい。
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「SF映画は科学技術を正確に予測しうるか?」

谷川 建司

 今から100余年前に誕生した“ニューメディア”である映画は、瞬時に他の場所へ移動し、過去や未来の異空間に我々観客を連れて行ってくれる魔法のような装置/メディアであった。その意味で、サイエンス・フィクションと呼ばれるジャンルこそが映画のメインストリームにあると言える。核兵器の持つ意味、オゾン層の破壊と地球温暖化、コンピュータやロボットなどの技術に依存した暮らしの危うさ、環境ホルモン汚染と生殖機能の減少、遺伝子組み換え技術の功罪など、今日の科学技術分野全般におけるイシュー領域はすべてサイエンス・フィクションの形で予言されていたと言えよう。本講義は「SF映画は科学技術を正確に予測しうるか?」と題して、戦後の1950年代から1970年代にかけての代表的SF映画を取り上げ、その今日的な意味について考察する。具体的には、『縮みゆく人間』(1957年/ジャック・アーノルド監督)、『ソイレント・グリーン』(1973年/リチャード・フライシャー監督)、『ブラジルから来た少年』(1978年/フランクリン・J・シャフナー監督)といった作品のクリップを見せながら様々な問題を一緒に考えていきたい。
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「メディア・モーダルシフトの行方を探る」

小林 宏一

 CO2の削減を目標として、トラック便を軸に構成されている既存物流系の一部を鉄道・船舶等の大量輸送手段に切り換えようとする試みとしてのモーダルシフトは、近年、流通関連企業によって採用されるところとなり、メディアを通じて喧伝されてもいる。今回の講義では、こうした―構造変動を伴う―システム改変をもたらす動向としてのモーダルシフトの動きは、本格的なディジタル・ネットワーク時代を迎えたメディア世界においても顕著に認められるとの視点に立って、メディア界ひいてはジャーナリズムの領域で生起している構造変動の現状と今後の動向について考えてみたい。その際採られる視点は、情報の処理(エンコーディング/デコーディング)/伝送/蓄積の三領域において生起しているディジタル技術の革新が現代社会のなかに埋め込まれることによって、どのような変化が生じているのかというものであり、こうした視点からの論議を抽象的にではなく、日々生起するメディア関連の出来事を題材にし、また、日本社会固有のコミュニケーション文化に関連づけて論ずることに心がけたい。 
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