Jオピニオン
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谷藤 悦史 (Etsushi Tanifuji)
早稲田大学政治経済学術院教授
現代政治経済研究所長
〔2008年1月寄稿〕
早稲田大学政治学研究科「ジャーナリズムコース」をめざす諸君へ
政治、経済、社会そして技術の大きな変化の中で、社会を構成するコミュニケーションが大きく変わりつつあると指摘される。社会コミュニケーションに関わるアクターが、地域、国家を超えて多様になり、増殖し、社会のコミュニケーションの様式を流動化させることになった。それは、ほぼ数世紀にわたって情報の収集、形成、供給をほぼ独占してきたマス・メディアのあり方にも変化を及ぼさずにおかない。産業としてのマス・メディアはどうあるべきなのか。マス・メディア産業の日々の活動、まさにジャーナリズムの活動はどうあるべきなのか。
こうした問題は、今世界的な課題となり、世界各国で、これまで作り上げられてきたジャーナリズムの制度、ジャーナリズムの作法、ジャーナリズムの哲学などの見直しが急速に進められつつある。そしてまた、ジャーナリズムを構成する人々の教育や育成の問題についても、多様な試みが開始されつつある。早稲田大学政治学研究科ジャーナリズムコースの発足は、そうした世界の動きと軌を一にするものである。これまでのジャーナリズムの実践を再生産することはしない。ジャーナリズムをめぐる新しい理論知や実践知を学際的に統合し、積極的に提供し、世界の他の大学の試みと競争しながら、21世紀のための新たなジャーナリズムのあり方を追求する。それは、ジャーナリズムの時代状況を踏まえながら、ジャーナリズムに新しい風をもたらす運動でもある。
この試みに是非参加して、共に歩みを開始しませんか。