第1回キックオフ・シンポジウム

 Jスクール(ジャーナリズムコース)創設記念のキックオフシンポ第1弾として、内外の研究者を集めた日中韓共同シンポジウム「ジャーナリズム、マスコミ研究の現状と明日」が2007年7月27日午後1時半~5時、早稲田大学の小野梓記念講堂で開催された。

 早稲田大学では現代政治経済研究所(政治経済学術院の組織)を中心にジャーナリズム研究に取り組んできた。今シンポジウムは、こうした研究成果を踏まえ、将来におけるジャーナリズム・マスコミ研究、さらに大学院における高度専門職業人としてのジャーナリスト養成についての展望を、アジアをキーワードに議論した。早稲田大学現代政治経済研究所所長の谷藤悦史政治経済学部教授がシンポジウムを主幹し、シンポジウムの司会を務めた。

 シンポジウムでは、まず、佐藤正志・早稲田大学大学院政治学研究科長が「ジャーナリズム教育への早稲田大学大学院政治学研究科の挑戦」と題し、2008年4月に創設されるジャーナリズムコースの取り組みについて、歴史的、現代的な観点から報告した。2005年に文部科学省の支援でスタートした科学技術ジャーナリスト養成プログラムが発展する形で、ジャーナリズムコースが誕生する経緯が述べられ、新コースの教育方針を示す5つのコンセプトが紹介された。特徴として、早稲田大学の全学連携による教育システムと、アジアの各大学との共同による「アジアに強い国際ジャーナリスト」の養成が挙げられた。

 中国からは復旦大学の李双龍教授が参加し、「中国ジャーナリズム教育の現状と問題点」をテーマに報告した。韓国からは鮮文大学校の李錬・新聞放送学科教授が「韓国におけるジャーナリズム研究の現状と未来」と題して報告した。両国ともに、ジャーナリズム研究と教育の初期には、日本の大学やジャーナリズムの影響を強く受けていたことが指摘され、また、ネットに代表される多メディアの時代のジャーナリズム教育を模索している点で共通点がみられた。

 日本のジャーナリズム教育の現状については、大井眞二・日本大学法学部教授と大石裕・慶應大学法学部教授が報告した。現役のジャーナリストがジャーナリズム大学院で再教育を受けることの重要性が指摘され、マスコミと教育の現場がもっと手を携えてジャーナリズム教育に取り組む必要性が強調された。