第2部風景
ジャーナリズム大学院設立10周年記念シンポジウム「AIは記者にとってかわるか?」(2017年12月17日)の記事を掲載しました

 

J-School・MAJESTy同窓会と早稲田大学ジャーナリズム大学院は 2017年12 月17 日、早稲田大学大隈小講堂でジャーナリズム大学院設立10周年記念シンポジウム「AIは記者にとってかわるか?」を開催しました(早稲田大学メディア文化研究所が共催)。

佐藤先生挨拶2

開会の挨拶で、ジャーナリズム大学院設立当時の政治研究科長で設立に尽力された佐藤正志・早稲田大学理事(政治経済学術院教授)は「大学院を修了し、活躍をしているジャーナリストからの報告は、私たちを勇気づけてくれる。またAI時代のジャーナリストのあり方というテーマは大学も抱える重要な課題」と述べました(写真上)。

第一部「世界とつながるOB・OG」 では修了者が多様な活躍ぶりを報告。 矢吹孝文さん(朝日新聞)は硫黄島取 材などの記者歴を披露。「大学院時代 はジャーナリズムを考える時間だった」と振りかえりました。川合智之 さん(日本経済新聞)はワシントン からSkype で発表。トランプ政権を 追いかける日々などを紹介し、学生 には「先生たちの人脈を最大限に活用して」と声援を送りました。同じくSkype でワシントンから報告した のは『パナマ文書の内幕』を著した シッラ・アレッチさん(ジャーナリ スト)。いまも仕事を一緒にできる同僚・先輩に出会えたことが大学院時代の大きな成果と伝えました。また房満満さん(テムジン)は制作した番組「激動の家族史を記録する」(NHKドキュメンタリーWAVE)を紹介し、中国で取材した学校教師から番組へのお礼を言われたときの喜びを伝えました。瀬川至朗プログラム・マネージャーは修了者や学生が多くの成果を出している実績を強調しました(写真下)。

第一部

第二 部「AI は記者にとってかわるか?」では、AI(人工知能)が実現しうる「ストレートニュースを書く」「『無駄な意見』を自動削除する」「世の中の事象をデータ化して集め、“ 良心的ビッグブラザー” が実現する」といった未来予想シナリオを題材に登壇者たちが議論。津田大介さ ん(ジャーナリスト)は、ジャーナ リズムもAI がつくりゆく“ 怪物” と 手を組む方法を考えておくほうがい いと提案しました。平和博さん(朝日新聞)は、AI と協力するのが現実 的なAI とのつき合い方になるのでは と述べました。一方、畑仲哲雄さん(龍 谷大学)は、AI により“ 良心的ビッ グブラザー” が人の生き方を規定する世界になれば、ジャーナリズムは ないに等しくなると、懸念を示しました。久木田水生さん(名古屋大学) は、AI がどんなに発達しても人間の 書くものを読み続けたいと締めくくりました。進行は田中幹人さん(早稲田大学)が務めました。また、第 二部では、矢吹さんが職場で導入した音声認識エンジン「Amivoice」による音声表示も試みられ、会場は感 嘆の雰囲気に包まれました。(写真執筆・漆原次郎=同窓会事務局次長)

 

※本シンポジウムは、J-School・MAJESTy同窓会の青山幹史事務局長をはじめ、同窓会の漆原次郎さん(事務局次長)、松村大行さん(同)、丸山紀一朗さん(同)、付瀟さん、樋口喜昭さんらに企画・運営の中心になっていただきました。